平成21年度の難病予算大幅アップについて
熊本IBD会長 中山泰男

 平成21年2月10日(火)厚生科学審議会疾病対策部会第8回難病対策委員会が厚生労働省で開催され、主に次のような事案が検討されました。(1)平成21年度難病対策関係予算(案)の概要、(2)難治性疾患克服研究事業予算額の推移、(3)難治性疾患克服研究事業の対象疾患の状況、(4)難病の研究事業と追加への要望、(5)難治性疾患克服研究事業の概要と展開などです。
 まず、21年度の難病対策予算のうち「難治性疾患克服研究事業」をこれまで24.4億円から100憶円にすると言うニュースは記憶に新しいところです。これは「原因が不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病の中でも積極的に研究を推進する必要のある疾患について、調査研究、重点的研究、横断的研究からなる研究事業を行う」と定義されおり、国が指定する難病123疾患(特定疾患45疾患を含む)に対する治療方法の研究予算を指しています。
これは、JPA(日本難病・疾病団体協議会/IBDネットワークや熊本難病団体連絡協議会も加盟している。)が継続的に国に要望してきたもので、一つの成果だと思います。

 次の図2ですが、これまで難治性疾患克服研究事業の対象疾患となっていた123疾患、それから、左下の太字で示している7疾患が21年度に追加される予定で、最終的には、難治性疾患克服研究事業が123⇒130疾患、へと変更される見込みです。
 次の図3の下段に、新な施策として「研究奨励分野」が加わりました。これは、特に希少性が高く、他の研究資金を得ることが困難であるために、企業あるいは研究者の取組みの対象となりにくく、まだまだ実態が不明な疾患というものが数多くあり、これまで研究が行われていない難治性疾患について、診断基準をつくる、統一的な基準を用いて患者数の把握を通じて、疾患概念の確立を目指すというものです。
 次に「未知疾患情報探究分野」です。難治性疾患は、数千あると言われており、現在、研究に取り組まれているのは百数十疾患。特に、極めて希少な疾患については、診断が確定するまでに長期間を要する場合、あるいは複数の医療機関の受診を余儀なくされる場合、あるいは診断そのものが確定しない場合ということもあり得ます。これらの極めて希少な疾患については、現時点では研究班を組織することさえも困難なため、まずは患者情報の収集、解析などを行い、一定の疾患像を整理した上で、疾患概念の確立へとつなげるという取組みを行ってはどうかというものです。これが100億円の内訳です。
 しかし、4月9日の時事通信にて、図2の中央※印の11疾患が特定疾患治療研究事業へ格上げされ、最終的には特定疾患治療研究事業45⇒56疾患へとなる見込みであるとの記事が発表されました。追加対策の一環だろうと思うのですが、ここまで一気に拡充されるのは難病対策史上において初めてであり、政府の意気込みを表していますが、結果的には消費税に反映されるのではないかと考えています。

関係資料 厚生労働省ホームページ⇒ 審議会・研究会等 ⇒ 厚生科学審議会 ⇒ 疾病対策部会難病対策委員会 ⇒ 第8回資料
     http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/s0210-9.html