熊本県庁を訪問し陳情を行ってきました!

 緊急号外でお伝えいたしましたが、新制度の実施には多くの不安がよぎります。急ではありましたが、友人の平野みどり県議会議員(県民クラブ)を通じ、県内の難病患者・家族の団体にお声かけした上で集まれる限りの状況で陳情を行ってきました。

 日 時 平成15年7月22日 11:00〜12:00
 場 所 熊本県民クラブ事務局の会議室

 訪問者 宇城難病友の会 会  長 池田博幸  さん
熊本県パーキンソン病友の会    副会長 緒方範明 さん
熊本クローンの会 会  長 中山泰男 さん
熊本クローンの会  副会長 白木顕也  さん
熊本クローンの会 理  事 長廣 幸  さんの5名




 対応者 熊本県健康福祉部健康づくり推進課(旧 健康増進課)
課  長 東  明正  さん
課長補佐 丸山茂樹  さん
熊本県議会議員(県民クラブ) 平野みどり さん

 まず、全国的に見て熊本県の更新関係書類送付状況があまりに遅いこと、熊本県として制度改訂の周知がなされないまま事務的に処理がなされ、認定取消しなど不本意な結果を招く患者が出てくるのではないかと危惧されること、平成15年度事業として義務付けされた「難病相談・支援センター」の整備に関し、何ら検討されている節がないこと等が柱でした。
 以下、要望書をそのまま掲載いたします。

平成15年7月22日

熊本県知事 潮谷義子様

                      
  熊本県難病団体協議会準備会(仮称) 
熊本クローンの会会長 中山泰男

「特定疾患治療研究事業新制度に係る要望書の提出について」


 平成15年6月18日に通知された「特定疾患治療研究事業実施要綱」(健発第0618001号)、「特定疾患治療研究事業の実務上の取り扱いについて」(健疾発第0618001号)並びに「特定疾患治療研究事業における軽快者の基準について」(健疾発第0618003号)、及び「難病特別対策推進事業実施要綱」(平成15年4月22日 健発第0122002号)に伴う運用が、適正に行われるよう下記のとおり要望する。



  1. 「軽快者」の基準として三つの項目が示されたが、具体的な判断は各自治体の審査会に委ねられる見通しである。市町村や医師の判断のバラつきにより患者が不利益を得ることがないよう明確な規定を作成し、公表して頂きたい。

  2. 今回、更新手続き上、申請書の提出が必要となったが、患者らが行う特殊な検査には医師との調整が必要であるし、一定の曜日に集中することも予測され日程的に無理があるのではないかと考える。9月30日をどうしても越してしまうような方を想定し、切捨てにならないよう特段の配慮を賜りたい。

  3. 「難病相談・支援センター」を概ね3カ年度以内に設置し事業を行うこととされたが、この事業の中には生活情報の提供や就労支援などが含まれる。難病患者の多くが経済的に自立できずに不安定な生活を送っている現状もあり早急な立ち上げをお願いしたい。また、当事者である患者団体の声が活かされよう、あらかじめ当事者である患者団体として、事前の協議に参加させて頂きますよう申し入れます。

  4. 症状の悪化に伴い就労継続が困難となり、雇用保険加入期間が満たない者も多く、又、難病患者の多くは障害認定の取得まで至っておらず、制度上の就職に必要な職業訓練を受けることができない。熊本県の政策として何らかの支援を創設して頂きたい。
  1. 《要望書の解説》 

    ・・・特定疾患対策会議に参加する医師の判断(力量)によって「特定疾患受給者」の階層別医療費による負担か、「特定疾患登録者(軽快者)」の3割負担かに振り分けられることになる。今後の生活にかかる大きな問題なので、決定される基準(規定)を設けて欲しいというものです。

     県回答

    軽快者の基準が3つ設けられており、それに基づいた幾つかの明確なチェック項目を確認しながら作成するので、誤差は生じないもの考えている。

     追加質問
     (中山)
    クローン患者の中には、成分栄養剤のみで体力を維持しつつ、就労している方も多数居られる。所得があり、生活全般も自立し、診察も月に1回以下のような場合はどうなるのか?

     県回答

    治療の一環であれば当然「軽快者」に当てはまらない。県としても初めてのことですから、みなさんも個別に事情があると思いますので、何かあれば私(課長補佐 丸山茂樹 さん)に問合せして下さい。

     追加質問
     (白木)
    認定結果に不服があれば申し立てることができるのか?
     県回答
    健康づくり推進課へ申し出て下さい。
              
  2. ・・・読んで頂いたとおりです。
     県回答

    9月30日までにとりあえず書類だけでも出して頂いて、必要とする診断書などは後日でも受け付けるようにしてはどうかと検討している。今回の申し出を十分受け止めて対応を図りたい。

     追加質問
     (中山)
    「特定疾患受給者証」を持たないまま診療を受けると言うことで、個人的にでも「登録者証(軽快者)」になりうる可能性のある場合、3割支払ったほうがよいのか?また、証書が届くまでどれくらいの日数がかかるのか?

     県回答

    各病院の判断で決定するまで支払いを待ってくれるところあると思うが、あくまでも病院側の好意によるものと考える。病院によっては支払いを求められるかも知れませんが、県として指導することは出来ない。認定証の送付までには2ヶ月程度かかるものと思われる。

  3. ・・・「難病相談・支援センター」が全国10ヶ所の自治体で既に検討されている。特に北海道では(財)道難連が受託者となり患者・家族で運営される見込みである。センターの業務内容には、「(1)難病患者・家族に対する各種相談支援事業、(2)地域交流会などの推進、(3)難病患者に対する就労支援、(4)難病相談支援員の配置、(5)その他、既存の難病施策等との有機的な連携」が上げられており、これこそ3年もかけずに早急にやって欲しいと考えました。また、行政主導で、中身の無いものとならないよう当事者が設置委員会などに参加させて頂くよう申し入れたものです。

     県回答

    検討し、来年度の予算に計上したいと考えます。現時点では、どのようなものなのか全部を把握していません。なお、県内に1ヶ所の整備とあるので、県内既存の設備(相談所)の利用も考えてみたい。

     提 案
     (平野)

    老人在宅支援センターや障害者生活支援センターがその業務を行う方が、より一層県民のためになるのではないだろうか。

     提 案
     (中山)

    今更、建物はいらない。基幹的なものを熊本県社会福祉協議会または県総合福祉センター内に設置してはどうか。また、家族内がバラバラになるような大きな問題を抱えて居られるケースもあるので、専門的なソーシャルワーカーだけでも早急に配置して頂きたい。

     県回答
    今後を考え、県としても窓口(患者団体協議会又は連合会)となるようなものがあったほうがよい。

     提 案
     (池田)

    難病友の会も阿蘇・菊池・宇城とあり、県単位で会を作ろうと考えていましたので、県内の患者・家族会に呼びかけそう言ったものを作りたいと考えます。

  4. ・・・私たちの仲間には、小中学の若年層で罹患し、体調がすぐれず就職することなく大人になった方、どうにか仕事はできるものの入退院の繰り返しで転職を繰り返さざるを得ない方、アルバイトで何とかつないでいる方などが居られます。どんなに自立した生活を送りたいと願っても、職や資格を得る機会に恵まれていません。また、障害者(1級又は2級)認定を受けているのは全体の5%にすぎず、5年間の雇用保険加入期間も満たされていないため、国の施策である無料の職業訓練を受けることができないのです。これは、今回の制度改訂とまったく関係ありませんが、どうしても伝えたくて記載しました。
     現在、障害年金を受給して居られる方の中から、「支給停止」を宣告された方が出てまいりました。国はもう「待ったなし」の状況のようですし、熊本県独自の施策として、何とか手を差し伸べて頂ければと願ってやみません。


《今後の展開》

 会談終了後、当日集まった患者会代表の皆さんと「熊本県難病団体連絡協議会(仮称)準備会」を早急に立ち上げることを確認し合いました。まず、県内で活動されている団体にお声かけをし、とにかく一同が顔を揃える機会を設けることです。

 ※確認事項

 日 付 :8月24日(日曜)とし、会場手配は熊本クローンの会が担当。
 参加者:団体を代表する方を含め2名以内


 今後の展開はまたお知らせすることにします。皆様のご支援をお願い申し上げます。

熊本クローンの会 会長 中山泰男