第1回総会勉強会内容
人間の生体免疫反応について 人間は常にいろいろな細菌と体内で戦っていますが、今までにないまったく新手の細菌に対しては戦う手段をもたず、 細菌の持つ特有の症状を出してしまいます。ところが人間の体はこの細菌がまた訪れる時のために、情報を記憶し 二度とこの細菌が体内で暴れることがないように準備します。(マクロファージによる細菌の記憶) この細菌のことを抗原と呼びます。抗原となる細菌の情報を得たマクロファージは再びこの抗原が侵入してきたとき 反応し抗原に対してリンパ球・白血球に攻撃するよう命令を出します。この命令伝達の媒体となっているのがサイトカ インと呼ばれるたんぱく質です。このサイトカインの中にTNF-αと呼ばれるサイトカインが存在することを覚えていてく ださい。
クローン病の免疫反応について 先程の説明を踏まえたうえでクローン病の免疫反応について考えてみます。免疫システムのプロセスには全くか わりはないのですが、抗原物質となる細菌に値するものが私たちが普段取っている食事にあることが、一番の問 題で、現在わかっているのは豚肉のアミラーゼが該当すると言われています。この豚アミラーゼが何らかの理由 で腸管に付着すると免疫反応が起こってしまい、マクロファージが攻撃命令を出します。ところが、このたんぱく質 リンパ球や白血球に比べて大きすぎるため、リンパ球や白血球はこのたんぱく質を切り離すため付着した周辺細 胞を活性酸素を出して切り離しにかかります。これがクローン病の炎症や潰瘍の原因となっていると考えられてい ます。
サイトカイン療法とは サイトカインの流れの中で比較的上流にあるTNF-αを意図的に何らかの物質で結合させれば、免疫反応を抑え こめると考えられる。これがサイトカイン療法と呼ばれている治療法です。
抗TNF-α療法 この原理を利用してTNF-αを抑え込もうとしているのが抗TNF-α抗体です。免疫反応そのものは起こっているの ですが、途中で産出されるTNF-αを抑えこむ事で免疫反応全体のプロセスに抑制をかけています。 この薬品は米国セントコア社によって開発され日本でも田辺製薬株式会社で治験終了、本年6月ごろ発売予定です
海外での実績 FDA(米国食品医薬品局保険・人的サービス局)で1998年に認可を得ています。この薬品に関しての重篤な副 作用は現在のところ見られないとの報告がありますが、結局免疫反応を抑制してしまうことから、悪性腫瘍な どの発生が懸念されるかもしれません。(米国では2例、治験数不明) また、キメラ抗体のため この薬品に対しての抗体を体内で作り出してしまうため、1回の投与以上の投薬は 無意味とされています。
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