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IBD宮崎友の会


IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)とは

 IBD(Inflammatory Bowel Disease)とは、腸に強い炎症が起こる病気を意味し、潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指します。この二つの病気は(1)下痢・腹痛・発熱などの臨床症状や、(2)全身的な炎症所見が現れ、(3)薬物療法が共通しているといった類似点があります。そして、アメリカやイギリスなどの動物性たんぱく質を多く摂取する生活水準の高い国に見られる病気で、最近、日本でも食生活の欧米化と歩調を合わせるように増加傾向にあり、日夜研究されているにもかかわらず原因不明で治療法も確立しておらず、根治の難しい病気です。

 潰瘍性大腸炎とは、大腸だけに起きる病気で20歳代をピークとする若者に多く発病し、男女差はありません。日本では1965年頃から急増し、全国では77,217人(平成14年度末)、宮崎県では684人(平成14年度末)が特定疾患医療受給者として認定を受けております。
 症状は、粘血便・血便・血性下痢・腹痛・発熱・体重減少が見られます。治療法はサラゾピリンやプレドニゾロン等の薬物療法が主となり、食事療法や中心静脈栄養法は補助的に行われます。重症の場合は外科治療が行われることもあります。
 また、いろいろの治療でいったん病気が治まっても、8〜9割の人が再発を繰り返すのがこの病気の特徴です。

 クローン病は、口腔から肛門まであらゆる消化管の粘膜に潰瘍ができ、外側のしょう膜にいたるまでの全消化管壁の全層が犯される病気で、10歳代前半から20歳代前半に多く発病し、男女比は2:1といわれ、1975年頃から急増し、全国では22,107人(平成14年度末)、宮崎県では218人(平成14年末)が特定疾患医療受給者として治療を続けております。
 症状は腹痛・下痢・体重減少・血便・痔ろうなどの肛門病変が見られます。また、小腸か大腸あるいはその両方に病変が見られ、腸と腸がつながって癒着がおきたり、腸に穴が開いてろう孔ができたり、腸の壁が厚くなり狭窄をおこしたりと大変に厄介な病気です。治療法は、ステロイド剤、5−ASA(ペンタサ)や大腸型クローン病に有効なサラゾピリン等の薬物療法と中心静脈栄養法や成分栄養法を単独あるいは併用することにより、また、重症の場合は外科治療(手術)により、ほとんどの場合、緩解期に導入することができます。緩解期の維持療法は栄養療法が中心で、食事療法と成分栄養剤(ED)による成分栄養法とで緩解期を長く保つことができます。
 また、長期の入院になるため社会生活が損なわれやすくなるのが問題です。最近では経腸栄養を家庭で行えるようになりましたが、食べ物が制限される点で社会生活上の気後れもあり、潰瘍性大腸炎と同様、管理された療養生活が必要です。

 なお、潰瘍性大腸炎は1975年10月、クローン病は1976年10月から国の特定疾患治療研究対象疾患として指定されています。

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